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02太陽 

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6. 日面座標へ戻る

7. 望遠鏡が無くてもできる太陽の観察

(1) 地球の自転速度へ戻る

(2) 時差へ戻る

 

(3) 手で測る日時計へ戻る

(4) 円盤型日時計へ戻る

(5) 円筒型日時計へ戻る

 

(6)コーナー型日時計へ戻る

 

(7)日時計の精度の限界

   日時計の基本的な原理や形式をこれまで見てきましたが、最後に、日時計は

どれだけの精度で時刻や時間が計測できるかを考えてみましょう。

 

@太陽は点ではない

   先ず、誰でもすぐに気が付くことがあります。それは、太陽は無限に小さな点ではなく、

球体であり、有限の視直径を持っているということです。

   そこで、太陽が三角板に隠れ始める時刻と、全て隠れてしまうまでの時間差を、

誤差の原因と考えてみましょう。

   地球の近日点での太陽の視直径が 32.5

   地球の遠日点での太陽の視直径が 31.5

であることは、5.(1)NDフィルターを利用した太陽の観察で写真をみていただきました。

平均太陽が24時間で一回りしてくることを考えると、この視直径だけ地球が自転して

太陽が進むためには、

   32.5′×24時間×60/360°/60′ = 2.16666 分 = 210

   31.5′×24時間×60/360°/60′ = 2.10000 分 = 206

かかります。

   従って、日時計で計測した時刻には

    ±10305秒の

  誤差が生じます。

しかし、もう少し丁寧に考えてみると、結果は変わってきます。

順を追ってそれを考えてみましょう。

 

A正方形の光源

  光源が正方形で、しかも明るさがどの部分でも同じとします。

  光源が、その底辺に水平な方向に動いているものとします。

光源が三角板に隠れる時の明るさの変化を考えてみましょう。

image004

  光源が板に隠れていく間、どこでも同じ幅で板に隠れて行きますので、

  明るさの変化は一定です。

明るさをyとすると、

      dL/dt = const    一定です。

  この微分方程式の解は、αを定数として

     L = a  const                 ( t ≦ t0 )

     L = a (1 - (t - t0)/(t1 - t0))     ( t0 ≦ t ≦ t1 )

     L = 0 const                  ( t0 ≦ t )

image006

四角い光源が板に隠れる前は明るさは一定

四角い光源が板に隠れ始めてから、隠れ終わるまでは一定の速さで暗くなり

四角い光源が板に隠れた後は、真っ暗で一定です

 

 

B円形の光源

次に、円形の光源について考えてみましょう

image031

円形の光源の中心を原点として、光源の動いていく方向にx座標

上の方にy座標をとります。すると、円の半径をrとすると、

ピタゴラスの定理(三平方の定理)から

   r2 = x2 + y2

ですので、

   y = (r2 - x2)1/2

です。

これに、正方形の時と同様に

   dL / dt = 2y

   dx = dt

として、解くとαを定数として

   L = a = απr2    const ,           ( t ≦ t0 ) 

   L = α∫ (1 - x2)1/2 dx    有名な部分積分の公式で

        = α(x (1-x2)1/2 + Arc sin x )/2    ( t0 ≦ t ≦ t1 )

   L = 0   const                    ( t0 ≦ t )

これを、グラフに描くと下図のようになります。

image040

(1)上図はMSペイントで描いた概念図で、寸法は正確ではありません。

(2)計算に興味のある方は、

高木貞治、「35.積の積分(部分積分または因子積分)」、『解析概論』、岩波書店、1977

のような、解析学(関数解析)の教科書を参照してください。

(3)定数は、まだ未定のままにしてあります。以下で、その値を定めながら、日時計の

精度の限界について考えます。

 

C正方形の光源と円形の光源の比較

   正方形の光源と、円形の光源が、三角板の影に隠れる時の明るさの変化の違いを

理解するために、まず、下図のように正方形と円とを重ねます。

image042

すると、Aの正方形は1辺の長さが2で面積が4の正方形になります。

また、Bの円は、半径が1ですので、πを円周率とすると、面積は、πです。

この時、明るさがどのように変化するのかをグラフにすると下図のようになります。

image044

この場合、正方形と円形の光源の明るさの変化のグラフは、光源が半分隠れた時の

明るさの変化率が同じになります。

   しかし、明るさの変化の大きさが正方形では4であったのに、円形ではπしかありません

ので、そのまま比較はできません。そこで、円形の半径を少し大きくして、隠れる前と後の

変化が同じになるように、円形の面積を正方形と同じ大きさに調整します。

    r = 1    →   r = (4/π)1/2 =  1.128379・・・ 

image046

この結果、明るさの変化は次のようになります。

image048

正方形から円形に光源が変わると、

   明るさの変わる範囲は広がりますが、

   傾斜の緩い変化は判別できませんので

   傾斜が強く明るさの違いのわかる範囲は狭くなります。

つまり、太陽が四角ではなく丸いことで、太陽の直径よりも日時計で明るさの

違いが判別できる誤差範囲の幅が太陽の直径よりもかなり狭くなっています。

 

D実際の太陽の明るさの変化

image050

2017/02/22 の太陽です。

円形の太陽が写っていますが、外周が暗く写っています。

   太陽面は平面ではなく球面に近い形をしていて、さらに、その表面が発光しているの

ではなく、コロナ、彩層のさらに下の光球面が発光していて、その光球も厚みのある層

ですので、写真に写った明るさの定量的なモデル化は、かなり複雑なはなしになります。

そこで、こうした現象の定量的な解析には、幾何学、解析幾何学、物理学、光学などの

基礎が必要ですので、興味のある方には、そうした方面の勉強をしていただくことにして、

ここでは、数式はもう扱わないことにします。

   しかし、太陽の中央が明るく、周囲が暗いことが、円形の光源に比べて、

物の影に太陽が隠れ時の明るさの変化にどういう変化をもたらすのか、定性的な

話だけは、まとめておきましょう。

  円形の光源に比べて、太陽では外周と中央の明るさが異なり、外周が暗いのですから、

外周のみが物陰に入る時に生じる明るさの変化は緩やかになります。

  また、同様に、外周だけが見えている時の明るさの変化も、円形の光源に比べて、

変化が緩やかになります。

  一方、中心付近では明るく光って見えますので、半分影に隠れるところの前後では、

明るさの変化は円形の光源よりも大きくなります。

   このことを、概念図に示すと次のようになります。

image052

はじめに、大雑把に太陽の視半径をもとに、日時計の精度の限界を±10305

と見積もりましたが、太陽が円形であること、そして球体であることや外周が暗いことなどを

考慮していくと、その何分の一かの精度が得られる可能性を日時計が持っていること

が分かってきました。

 

E再び立ちふさがる回折の壁

   太陽光の作る三角板の影を使い数十秒の精度で日時計が作れる可能性が

あることは、以上の説明でお分かりいただけたと思います。しかし、そのために10秒目盛の

日時計を作ろうとすると、次の、壁に突き当たります。

   目盛りが細かくなり読み取れなくなりますので、日時計を大きくしなくてはならなくなります。

日時計を大きくすると、三角板から文字盤までの距離が長くなります。

   鏡やレンズのところで、回折現象について説明しましたが、回折現象は、丸い筒だけ

ではなく、三角板の角(エッジ)でも発生しています。そのため、日時計を大きくすると、

影の境目がぼやけてきます。その結果、大きな日時計では、シャープな影が得られなくなり

正確に時刻を読み取ることができなくなってしまいます。

   円筒型日時計のところで説明した名古屋の科学館の環式日時計15分刻みの

目盛になっています。

 

 

F精度1分のコーナー型日時計

   Eの問題を解決するためには、再び拡大投影が役立ちます。天体望遠鏡で

太陽を拡大投影して、映し出された太陽の外周や黒点の動きを計ると、秒単位の精度で

時刻や時間が測れます。昔は、緯度や経度や時刻を正確に知るために、実際に明石に

天文台を作ったりしてきましたが、今は電波時計もGPSもありますので、莫大なお金をかけるのは止めて、・・・

 

   そうはしないで、コーナー型日時計での限界を追求してみました。

時差が20分の日に行ったテストです。

tIMG_2032

tIMG_2034tIMG_2033

誤差が時間の1分の日時計は、作れます。

(4) チャレンジする方は、蛙聲庵1分目盛の日時計の文字盤が手に入りますので、

試してみてください。

 

G天体観測での日時計の利用

   天体観測に赤道儀を使用したり、GOTOドブソニアンを設置したりするためには、

正確に真北がどの方向にあるのかを知っている必要があります。

   アライメントやキャリブレーションなど様々な機能があるのでと思わないでください。

導入のための機能であって、追尾のためのものではありません。星団や星雲をきれいに

写そうと思うと、極軸調整は避けて通れません。

   日時計が時間で1分の精度で設置できるのですから、角度では15′の精度で

真北が見つかるということです。

   北極星の見えない山や建物の南側は、北西の季節風を避けながら撮影できる

絶好のポイントです。昼間のうちに赤道儀を設置することもできます。

   団地の専用庭の観測所では、きわめて重要ななアイテムが日時計です。

私は、現在の団地に引っ越すことを決めたときに、まず、この日時計の設計をはじめて

引っ越しの前に精度を確かめてから引っ越しました。団地の専用庭からは北極星は

見えません。

 

 

8. コロナへの質量放出CME

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