Yoshio's pages

Yoshio's Page トップへ戻る

astrophotography 

天体のペ

天体のページの目次へ戻る 

02太陽 

02 太陽の目次へ戻る

6. 日面座標へ戻る

7. 望遠鏡が無くてもできる太陽の観察

(1)地球の自転速度へ戻る

 

(2) 時差

 さて、(1)のAを丁寧にやっていくと、太陽の南中時刻がずれていくことが測れます。そこで、そのずれ、つまり、時差についてまとめておきましょう。

 

@原子時とWUT,UTCの差

  閏(うるう)秒というのをお聞きになった方は多いと思います。グリニッジ平均太陽時Greenwich Mean Time GMT(ZuluTime)と同様に、地球の自転に世界標準時World Univeersal Time WUT (universal time UT1)を合わせています。差が0.9秒を越えないように調整します。つまり、原子時と地球の自転を基準にした時刻の間には0.9秒以内の時差が存在します。

 

(1) 閏秒の調整のある時には、

情報通信機構から「うるう秒」挿入のお知らせが出されます。

 

 

 

AWUT(UT1)JSTとの時差

  ご存じのとおり、GMTが使われていた時には、東経135度の子午線における平均太陽時を日本の標準時に使用していました。このため、

    24時間÷360°×135°= 9時間

の時差がGMTJST(Japanese StandardTime)とにはありましたので、UT1になってからも、この時差を9時間としています。

   つまり、  JST = UT1 + 9時間 です。

日本ではこのJSTが地方標準時Local Standard Timeです。これが適用される範囲をZone 9と言います。

 

 

B地方標準時と地方時の時差

  私の叔父と叔母は明石に住んでいて、2階の窓を開けると正面(真南)に明石の天文台が見えますので、明石の家の庭で天体観測をするときには、UT19時間を足すだけで済みます。私は、現在はさいたま市見沼区、東経139°39' 41.20"Eに住んでいますので、日本の標準子午線から

       4°3941.20

東にずれたところに住んでいます。

 では、どれだけ、明石とさいたま市の時差があるのか考えてみましたょう。

  24時間÷360°×4°3941.20= 1838.75

も時差があります。

  地方標準時が12時の時に明石は12時ですが、さいたま市の地方時は121838.75秒になっています。

 

 

 

Cケプラーの法則で生じる時差

  平均太陽時と実際の太陽時との差の話の前半です。

  太陽と地球の距離は時々刻々変化しています。その証拠が次の写真です。輪切りにした太陽の写真を並べてみました。

  済みません、この写真を写すのには望遠鏡が必要です。後で、望遠鏡がなくても、観察できる話を書きますので、ちょっと待ってください。

image025

  地球の北半球では、最近は冬に太陽が大きく見えて、夏には小さく見えています。つまり、冬には地球が太陽の近くにあり、夏には遠くにあります。地球の南半球では、この関係は逆になり、夏に地球が太陽の近くにあって、冬には遠くなります。ついでですので、近日点て遠日点とで、どのくらい大きさが違うのかも見ておきましょう。

image026

上の写真は、2016年の近日点と遠日点の太陽を比較したものです。3.4%も直径が違いますので、太陽から届く輻射エネルギーは6.9%ほど違います。今から1万年ほど先には近日点が夏至の近くになりますので、地球の北半球では夏がもっと暑く、冬がもっと寒い厳しい状況になることが予想されます。

 

(2)近日点の移動と歳差運動による春分点の移動については、

「近日点の移動」、暦WIKI暦計算室、国立天文台

のページを参照してください。

 

 話を時差の話に戻しましょう。太陽と地球の距離が変わるということは、地球の軌道が円ではなくて、楕円であるということです。日本で大阪夏の陣があって、豊臣家が滅んだ頃に、ポーランドでは、それまでに何百年、何千年にわたって蓄積された膨大な観測結果からケプラーがこの事実に気づきました。これが「惑星は、太陽を一つの焦点とする楕円軌道を回っている」というケプラーの第1法則です。

 さらに、その楕円軌道上を惑星は等速運動しているのではなく、「面積速度一定の法則に従って運動している」というケプラーの第2法則も発見しました。もちろん、地球も惑星の一つですので、これらの法則に従って動いています。

 つまり、近日点では地球は早く進みます。反対に遠日点ではゆっくり進みます。その速度の差は面積速度一定の法則から約3.4%です。

image027

 わかりやすくするために、楕円の扁平率を大きくして描いてありますが、上図のようなことが起きます。

 地球の公転方向と自転方向は、天球の北極から見て左回り(反時計回り)で同じです。このため、地球上のどこかで太陽が南中してから、次に太陽が南中するまでの時間は、地球が1回転自転をしただけでは少し足りません。その不足分は、地球の公転している角速度が速いほど大きくなります。

 つまり、近日点の近くでは、1日の長さが長くなり、太陽が南中するのが遅れていきます。別な言い方をすると、太陽は黄道上を東へ進んでいますが、その進み方が、近日点に近いほど速くなります。このため、その分だけ余分に地球が自転しないと、太陽が南中しません。

 

 少し補足しておきます。地球の近日点通過は2017年には142318JSTでした、201612211944JSTに冬至でしたので、14日余りしか近日点通過は冬至と離れていません。また、太陽の遠日点通過は201675124JST、夏至は621734分でした。夏至と遠日点通過も14日余りしか離れていません。

 

 さて、ここまでの話から、年間を通じた正午の太陽の位置を考えてみましょう。

  1221日の冬至〜14日の近日点のころに(上図の下の方で)、太陽の南中が遅れていく速さが最大になります。また、夏至のころには、太陽が南中する時刻が早くなる速度が最大になります。夏至の太陽の位置は高く、冬至には低いので、次の図ようなことになります。

image028

 つまり、ケプラーの法則からは、太陽が毎日正午にある位置が上図のような楕円形になることが予想されます。

 

 

 

D黄道傾角によって生じる平均太陽と太陽の時差

 平均太陽時と実際の太陽時(視太陽時)との差の話の後半です。ここで、もう一つ考えておかなくてはならないことがあります。それが、地球の自転の赤道面と公転面(黄道面)に傾斜があることです。言い換えると、地球の自転軸が、地球の公転面に垂直に立っていないということです。

 ここでは、ケプラーの法則を考えないことにして、黄道上を太陽が等速度で移動しているものとしましょう。つまり、地球と太陽の距離が変わらず、地球は円軌道を描いて、等速度で円運動をしているものとします。これを地球から見たらどうなるのかが、ここでの話です。

image029

 地球の赤道面が黄道面と同じであれば、上図のように、毎日1日の長さは同じになります。その理由は、太陽が南中してから次に南中するまでに、地球が回転しなくてはならないのは、1周360°とあと約1°(厳密には1°×360 /3655時間4845.158)で一定だからです。地球から見て赤道上をこのように動く仮想の太陽を平均太陽と呼んでいます。

 実際の太陽は赤道上を動くわけではなく、黄道上を動いています。このために、平均太陽で測った時刻と実際の太陽で測った時刻とには、差が生じます。これでも、まだ、難しいので、もう少し簡単にするために黄道上を太陽が等速度で動いているものとしてみましょう。

image030

 上図は、夏至の太陽の動きです。黄道と赤道は夏至では平行ですので、黄道上を進む太陽の角速度と、赤道上を進む平均太陽の角速度は同じです。

image031

 この図は、冬至の太陽の動きを描いたものです。夏至と同様に冬至には赤道と黄道が平行ですので、平均太陽と実際の太陽とは同じ速さで動きます。

 

  ところが、春分や秋分にはそうはいかなくなります。

image032

 太陽が黄道上を進む速度が、夏至や冬至と変わらないとしたら、赤道座標でその速度を見ていると、黄道の傾斜角がθとすると、春分には太陽の赤経が進む速度は黄道上を進む速度のcosθ倍しか進みません。

image033

 太陽が黄道上を進む速度が、夏至や冬至と変わらないとしたら、赤道座標でその速度を見ていると、黄道の傾斜角がθとすると、秋分には太陽の赤経が進む速度は黄道上を進む速度のcosθ倍しか進みません。

 つまり、太陽を赤道座標で見た速度は、変化しており、春分と秋分で最小になります。

 

[疑問]

 ちょっと待ってください。「夏至と冬至で角速度が変わらず、春分と秋分で遅くなるなら、赤道座標で見た太陽は1年で1周しないではないか」と疑問がわきます。

 

[]

 球面三角法と平面三角法の差が疑問の原因です。平面では4つの角が90°の長方形は、上辺と下辺の長さが同じです。ところが球面三角法では赤道上にある長方形の下辺から北にθ(夏至の太陽の赤緯)だけ離れている長方形の上辺の長さは、赤道上の下辺の長さのcosθ倍しかなく、北極ではゼロになります。

 理科の先生や理学部の教授の皆さんに、この質問をしないでください。ほとんどの方は、球面三角関数や極座標形式の解析幾何学などというものがあることさえもご存じありません。そんなものが日常の仕事や研究に必要であったのは、天体観測で時刻を計ったり、船や飛行機の位置を計測していた4050年前の、船の航海士、飛行機の航法士、手計算していた天文学者と電磁気学の研究者だけです。

 GPSなどの航法計器が普及してからは、飛行機には航法士は乗っていません、そのGPSのアルゴリズムを考えている、おそらく、世界で一人か二人のシステム・エンジニアと、特殊な分野を研究している数百人の天文や電磁気の研究者以外には、球面三角法とか極座標形式の解析幾何学は必要なくなっています。

  ちなみに、北緯(または南緯)23°2613.2″の赤経1°は、赤道上の1°と比べると長さが

    cos(23°2613.2) = 0.9175 倍しかありません。

ということは、赤経(赤道上の角度)でみた太陽は、夏至や冬至には、黄道上の角速度の

  1/0.9175=1.0899

速く進んでいます。その結果、1年の長さは、どちらも同じになります。

  というわけで、黄道傾斜角だけでも、次のような太陽の位置の違いが発生します。

image034

 

 

Eアナレンマと均時差

 実際には、主にCとDの二つの現象が複合されて、下図のようになります。

image035

  この、正午の太陽の位置が描く8の字のようなものをアナレンマと呼びます。

このアナレンマの太陽の位置を、縦軸と横軸に分解します。

image036

  とても、長くなりましたが、やっと時差の話がこれでできるようになりました。アナレンマの太陽の位置を縦と横に分解すると、縦の位置は太陽の赤緯、横の位置は平均太陽から本当の太陽がどれだけ進んでいるのか赤経の差で測った値になっています。つまり、日時計が時計からどれだけ進んだり遅れたりしているのかを表しているのが、この均時差です。

(3)

  アナレンマのシミュレーションは、ステラナビゲータなどのプラネタリウム・ソフトウェアでできます。

ソフトの無い方は、

  「日の出入りと南中」、暦Wiki、暦計算室、国立天文台のページでアナレンマのシミュレーションを見ることができます。

論より証拠という方は、

  「アナレンマ」をキーワードにして、ネットで画像を検索をすると、多くの方が撮影された写真を見ることができます。

 

 

 

F望遠鏡なしでできるアナレンマの観察

いよいよ、望遠鏡なしでできる観測の話です。

 

アナレンマの撮影

 太陽を、毎日同じ時刻に、同じ位置から、同じ方向にセットしたカメラでNDフィルターをかけて撮影します。さらに、太陽が画角に入っていない時に、同地点で、同方向にカメラを向けて、フィルターをかけずに、撮影します。写した写真を1年分、比較明合成することで、アナレンマの写真ができます。山、建物、鉄塔など、合成の基準にできるものを画角の中に入れておくと、合成が楽にできます。

 必要なレンズは画角が黄道傾斜角23°26′の2(つまり50°)以上必要ですので、

かなりの広角レンズが必要です。周りの景色も写すとすると18mmでも足りないかもしれません。

 焦点距離や、レンズの口径で必要なフィルターが異なります。フィルターなしでカメラを長時間太陽に向けると、カメラが壊れてしまいます。

 望遠鏡は要りませんが、壊しても構わないカメラ、フィルター数種類、比較明合成のできるコンポジット用ソフト、3脚、などとなど、揃えていると数万円〜十数万円ほど準備にお金がかかります。よほどお金があって、さらに太陽の撮影に慣れている方以外には、この方法の観察はお勧めできません。

 

アナレンマの観察

 カメラがなくても観察はできますが、

 太陽を直接見る方法は絶対にやめてください。失明します。

 毎日、正午など決まった時刻に、国旗掲揚塔、建物、電柱など適当なものの(かげ)の先端を見てください。

 適当なものがない時には。板に棒を立ててその影の先端の位置に印をつけていきます。先端の軌跡が8の字を描くのが記録できます。

 日の差す窓があれば、窓ガラスに、何かを貼り付けます。とがったところのあるものであればミッキーマウスのシールでも、三角形にテープを切ったものでも何でも構いません。その影が、毎日、決まった時刻にどこにあるのか観察しましょう。

 

 

Gまだまだ続く時差の話

  これまで、色々な時差について見てきたので、もう嫌になっている方が相当いらっしゃると思います。正直に言って、ここまで、読み進んだ方々は、相当、忍耐強い方々だと思います。でも、時差の話はそれほど生易しくはありません。全部書くと読者がいなくなると思いますので、あと、どのようなことをして、時差の補正をしていくのか、道筋だけを説明しておしまいにしておきます。

 

a)地心座標系と観測地点の座標系の補正

  地球は略球体ですので、地球の中心から観測地点は約6,370Km離れています。さらに自転していますので、計算は複雑です。

 

b)ジオイド面補正

  概略球形の地球は、赤道方向に長い回転楕円体に近い形をしています。さらに、地形により山や谷や平野で標高は異なります。このため、正確な観測点の地球の中心からの距離が異なってきます。平均的な海面を仮定して地球ジオイド面と言いますが、地下の質量の分布や自転の遠心力で複雑な形をしています。

 

c)高度補正

  観測点が地面や海面にあるとは限りません、海面に浮いている船のブリッジは、海面から数十メートルの高さにあります。飛行機は何千フィートの上空を飛行しています。山の上の天文台は海抜数百メートルから数千メートルの高さにあります。その補正も必要になります。

 

d)大気差(気差)補正

  太陽が天頂に来るのは北回帰線と南回帰線の間だけです。しかも、天頂に来るのは年に2回だけです。回帰線の上では1回しか来ません。このため、それ以外の時やところでは、太陽の見える方向が地球の大気の屈折の影響を受けます。真空中ならば見えるはずの方位と高度からどれだけ天体がずれて見えるのかを大気差あるいは気差と呼びます。太陽や星の高度や方位がいつもずれて見えているのです。非常に厄介なのは、そのずれの大きさがかなり大きい事と、大気の状態次第で相当な変動をする点です。

  昔私の使っていた『天測計算表』では、214ページにわたり、太陽、月、星の高度の補正のための数表が延々と並んでいます。気温、水温、眼高による天体の見える高度の補正を行うための表です。しかし、私の経験では、補正をしても、その高さにその天体があったことがありません。実務的には、夜3つの星を計り誤差でできた3角形の重心を利用して位置を推定していました。日中は太陽か月、木星など明るい星も使いました。できるだけ1つではなく、2つか3つの天体の高度を計って位置を計算していました。

 

(4) 書誌第601号、『天測計算表』、海上保安庁水路部著作編集、日本水路協会発行、平成31030日 が今手元に残っている最後の計算表です。おそらく、まだ、水路協会では、最新版を発行されているのではないかと思いますが、もう手に入らないかもしれません。

 

  特に地平線に近づくとその大気差(気差)の大きさは大きくなります。天文台では日の出、日の入りの計算に地平線における大気差を角度の3508″と仮定して、標高を考慮せずに計算した値を、日の出、日の入などの時刻として発表しています。このため、その時刻に太陽も月も惑星も出てきたこともなければ、沈んでいったこともありません。数分のずれは当たり前のことです。

 

(5)「東京の日の出入、月の出入、惑星の出入」、暦部、理科年表

(補足)

  極端な場合には「蜃気楼」が見えます。水平線に一度隠れた後に、空の上をオイルタンカーが走って行くのを伊良湖水道で何度も見ました。日本海の海上の船から、東京の街が見えることがあるそうです。この場合角度の2°くらいは平気でずれています。緯度の1分が1海里(1,852m)もありますので、1°違えば111Kmも違ってきます。2度で222Km。大変な誤差の大きさです。

 

(余談)

  余談になりますが、これが生死を分けた出来事について、若いころに聞いた話を、書き残しておきます。太平洋戦争が始まって少し経った頃、海上自衛隊の航空隊の前身である、海軍航空隊は九州の基地を発進し、沖縄、台湾、海南島、ハノイ、サイゴンへ進出し、マレー半島沖でロイヤルネイビー(英国艦隊)の旗艦プリンス・オブ・ウエールズと伴走艦レパルスを撃沈して、殆どが無事帰還しました。現在の航空自衛隊は、ケニアでもスーダンでも飛んでいきますが、その前身である陸軍航空隊は、海軍とほぼ同様なルートを進撃したのですが、ハノイやサイゴンに到達してシンガポールの攻撃に発進できた飛行機は半分あったかどうか、燃料が尽きたときに、運のよいものは陸地を見つけて海岸の砂浜に不時着できたが、多くは太平洋の波間に消えたとのことです。あの大きな台湾にどうして行きあたらないのか・・・?

   洋上飛行になれている海軍と、慣れていない陸軍には天測の技量に差があって、大気差や眼高高度補正の良しあしが、多くの飛行機と何百人もの命を失うかどうかの分かれ道になったのだと聞きました。

  太陽の観測で命は落としませんが、合成焦点距離が1,000mmを越える望遠鏡使っていると、太陽や月さえも視野に入らず、ファインダーの調整のやり直しをすることがあります。勤務していた天体観測室の焦点距離6,000mmの望遠鏡を載せてある赤道儀は、その日、その方向に合わせて追尾速度が微調整できるようになっていました。調整が良くないと、見る見るうちに、星雲、星団や月のクレーターが視界から外れていきます。

 

  こうした時差の補正を全て積み重ねていって、陸地の測量を行い、そこの緯度経度を正確に求め、それをもとに太陽の方位を計測して、地方太陽時を求めます。

 

 

(3) 手で測る日時計へ

02 太陽の目次へ戻る

天体のページの目次へ戻る 

Yoshio's Page トップへ戻る

 

 

 

Yoshio's pages の通販サイト

あせいあん

蛙聲庵 では

四つ葉のクローバー 

image001image009image026image007

紙の分度器 

image011image013image015image014

日時計の文字盤 

image008image017image021image019

の通信販売を始めました