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02太陽 

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6. 日面座標

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  ある県の高校の入試に「太陽は西から東にまわっているのか」「東から西にまわっているのか」を問う問題が出されたことがあります。愚問中の愚問のひとつです。ある意味では両方正しいし、一般的なことを言えば西から東にまわっているというべきであるということを説明するのがこのページです。

 

@太陽も西から東へ自転しています

 

先ずは、地球の東西南北の定義を調べてみましょう。

東、「方位の一つ、太陽の出る方向、南に向かって左の方」 

西、「方位の一つ、太陽の沈む方角、方面、南に向かって右の方」

南、「方位の一つ、太陽が出る方(=)に向かって右の方角、方面」

北、「方位の一つ、太陽が出る方(=)に向かって左の方角、方面」

 『岩波国語辞典』、第3版、岩波書店

 方位は太陽が出たり沈んだりすること、つまり、地球の自転を基準に定義されています。

 太陽の表面に仮に立てたとしても、太陽は足元にありますので、太陽は基準に使えません。そこで、自転を他の星の動きで判定すれば、他の星が昇ってくる方が東です。

  方位が自転で定義されていますので、地球も、月も、火星も、水星も、木星も、土星もみんな西から東にまわっています。天球の北極から太陽系を見下ろせば、太陽も地球などの惑星もみな同じ方向に自転しています。つまり、太陽は西から東に回っています。

 

 

英語でもこのことに変わりはありません。

east. '(Towards, at, near) the point of the horizon where the sun rises (90°to right of North)'

"The Concise Oxford Dictionary", fifth edition, Oxford At the Clarendon press.

訳すと、

 「東、地平線の太陽の上ってくる点、点の傍(そば、傍ら)、方向で、北から90°右」、(コンサイス・オックスフォード・ディクショナリー、第5)

ですので、定義の仕方は日本語と同じです。

 

 

つまり、天体が自転していることを基準に東が定義されていますので、どの天体も西から東に自転していて、東から西に向かって自転する天体はありません。

 それにもかかわらず、東から西に太陽が自転すると誤解する人たちが出てしまうのには、それなりの訳があります。それが、日面座標(太陽の表面の座標)系です。

 

A太陽の緯度経度

 日面(太陽の表面)座標でよく使われるものは2つあります。そのひとつがカーリントン座標系Carrington heliographic coordinates です。緯度の測り方は地球と同じで赤道から北極、南極方向に090°です。地球には東経と西経が0180°までありますが、この座標系の経度longitude は、東経のみで0360°で測ります。

つまり、太陽の緯度と経度はカーリントン座標系では、

   緯度 latitude         S90°〜 N90° または -90°〜 +90°

 地球の南北とほぼ同じです

    経度 longitude      0° 〜 360°

 太陽の西から東へ測りますので、地球から見ていると地球の東側よりも西側の経度は大きくなります。この日面経度の原点は、「185411日グリニッジ平均正午において、黄道面に対する太陽の赤道面の昇降点を通る日面子午線を経度の原点とした」ものです。

(1) 理科年表、暦、太陽の自転軸

には、上記の原点とそれぞれの年の、このページに以下に述べる座標系相互間の換算に必要な数表が掲載されています。

そして、

一般的に、日面緯度経度というと、この座標のことです。

 

 太陽から地球を見ていると、ロンドンは明石よりも西にありますので、地球の東経135°の明石の天文台が正面に来てから、9時間後に東経0°のグリニッジ天文台が回ってきます。つまり、太陽の正面に来る子午線の緯度は、地球が西から東に回っているため、時々刻々東経の数値が減少します。

 同様の現象が逆に地球から太陽を見ているときにも起きています。次に述べるように毎日見えているところの経度は減少します。

 

 

B北極方向角・日面中央緯度・経度

 

北極方向角

  太陽と地球の自転軸はだいたい同じ方向なのですが、正確には同じ方向を向いていません、このため地球からみていると、太陽の北極が左右に振り子のように振れて見えます。太陽の自転軸が天球の子午線となす角度を北極方向角といいます。

 

日面中央緯度

   北極方向角が振れるのと同じ理由で、太陽の赤道の上に地球があったり、下に地球があったりします。この振れの角度は太陽緯度の何度の方向に地球があるのかで表します。地球の中心から見ていると、丸く見えている太陽の中心が太陽の緯度の何度に当たるのかということです。これを日面中央緯度と言います。

 

日面中央経度

  太陽は自転していますので、地球の方を向いている太陽の経度(東経)は、時々刻々減っていきます。地球から見えている太陽面の中央の経度を日面中央経度と言います。

 

 

C北極方向角・日面中央緯度・経度の変化

  太陽には地球や火星のような固体の地殻があるわけではありませんので、黒点などの移動速度をもとにして決められています。

  太陽の地球に対する自転周期は、φを太陽面の緯度とすると

     26.90 + 5.2 sin2φ 日

  赤道で26.9日、北極で32.1日です。

 (2) 理科年表、天文、太陽の諸定数より

 

このため、毎日太陽は

      13°23′ 太陽の赤道で

      11°13′ 太陽の南極と北極で

自転しています。

 そうなると、どこを経度の基準にしたらよいのか困ってしまいます。

そこで、カーリントンRichard Christopher Carringtonが計測した、

緯度16度付近の27.2753日で自転しているものと決められています。

 

この日面経度を使うと、緯度が16度の黒点の位置は略一定になります。

 

 

 北極方向角・日面中央緯度・経度は、国立天文台暦計算室から配布されていて、私も天体観測室に勤務していた時には、その表を見て、その時刻に換算していました。天文年鑑にも5日毎の値の表が掲載されていますので、それを補間して使用することができます。

 しかし、 Yamane's Homeある日の太陽面 に次のグラフが表示できるようにしてくださっていますので、計算や作図の手間がかからなくなっています。 

image003

 P  北極方向角

 Bo 日面中央緯度

 Lo 日面中央経度

 E W は、地球から見た天球(地球)の東西です。太陽の経度の東西ではありません。

 

 

D日面中央経度差CMD

 太陽の表面(日面)座標でよく使われるもう一つの座標は、ストニーハースト日面座標系Stonyhurst heliographic coordinatesです。地球の中心から見た太陽の中心を通る太陽の子午線をcentral meridian中央子午線と呼びます。地球の北半球から見て、その右(地球の西側)を西、左(地球の東側)を東として、中央子午線から何度の所かを表す座標です。この座標は地球から見て地球の西に見えるか東に見えるかを表記しているのにすぎませんので、太陽の東西を表しているのではありません。この座標系では黒点は時々刻々地球の東から地球の西に向かって移動していきます。

 

 昔はPCも電卓もありませんでしたので、活動領域やフレアの位置を観測した時に、計算尺、対数表、算盤、タイガー計算機を駆使して位置を計算する必要がありました。事前に何日かかけて計算しても、当日は曇っていて写真が撮れないなどというのは当たり前でした。経度を計算するのが面倒くさいので緯度と経度ではなく、太陽の緯度とCMDで表記してきましたので、今でもその習慣が残っています。N10W80は緯度が北緯10°、経度がLo+80°であることを示しています。S25E35ならば緯度が南緯25°(-25°)経度がLo-35°です。そのために、太陽が東から西に自転しているという誤解が起きたものと思います。しかし、CMDで東から西へ回っているというならば、確かに東から西に回っていますので、そういう意味ではこちらも正解かもしれません。ただし、CMDであると但し書きを付ける必要があるのではないかと思います。

(3)

 太陽の色々な座標に興味のある方は、Coordinate systems for solar image data, Astronomy & Astrophysics manuscript no. 4262thom, December 15, 2005をご覧になることをお勧めします。インターネットを検索すると読めます

(4)

長い論文を読むのが面倒な方は、http://gong.nso.edu/data/DMAC_documentation/Vmbical/Solar_coord_defined.html
をご覧ください。その説明に出てくる東西南北は地球の中心から見たgeocentricの東西南北であると、この説明の中には書いてあり、CMDに類する方位ですので、要注意です。

 

 

E太陽の東西南北

  非常にわかりにくい事のようですので、わかりやすく、写真で説明しておきます。

  天頂プリズムなどを使用せず、太陽に屈折望遠鏡を向けて、カメラの上を上にセットして写した(直視法の)写真ですので、目で見た通りの上下左右になっています。

image005

太陽の緯度経度の

北西

の写真です。

CMDでは

北東

の写真です。

image007

太陽の緯度経度の

の写真です。

CMDでも

の写真です。

image009

太陽の緯度経度の

北東

の写真です。

CMDでは

北西

の写真です。

image011

太陽の緯度経度の

西

の写真です。

CMDでは

の写真です。

image013

太陽の緯度経度の

中央

の写真です。

CMDでも

中央

の写真です。

image015

太陽の緯度経度の

の写真です。

CMDでは

西

の写真です。

image017

太陽の緯度経度の

南西

の写真です。

CMDでは

南東

の写真です。

image019

太陽の緯度経度の

の写真です。

CMDでも

の写真です。

image021

太陽の緯度経度の

南東

の写真です。

CMDでは

南西

の写真です。

 

 

 

F月にもあった東西の混乱

 何十年も昔の事ですが、私の若いころには月に関しても、現在の太陽と同様に東西の表記に関する混乱がありました。しかし、私が大学で応用物理学を勉強しているころに月面に人が立てるようになりました。そのテレビ中継を見てからは、月面に立って、お日様の上ってくる方向を西であるという人は、いなくなりました。

 太陽面に人が立てる見込みはないかも知れませんが、STEREO衛星(人工惑星)の時代が来ていますので、やがては太陽についても、昔話になる日が来るものと思います。

  太陽系の様々な位置から写真やビデオを写すのですから、地球の東西を基準にしていたのではややこしくて困るようになるからです。

 

 

7. 望遠鏡が無くてもできる太陽の観察へ

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