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02太陽 

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5. 太陽光の分光

(1) NDフィルターを利用した太陽の観察へ戻る

 

(2) フラウンホーファー線へ戻る

 

(3) 影の正体を写すCaKフィルターへ戻る

 

(4) Hα線のフィルターへ戻る

 

(5) Hα線の写真に写るものへ戻る

 

(6)ドップラー効果へ戻る

(8)コロナグラフ

 

(7)ゼーマン効果へ戻る

 

@太陽の周囲に輝く光

  これまで、日の光に差す影の観測の話でしたが、太陽の観測の最後の話は、影ではなくて光の話です。太陽の周囲に輝いている光、コロナをどのようにして撮影して観測するのかについてまとめておきましょう。

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日本の国旗、日章旗です。

これが、Hα線で写した太陽であることは、すでに説明しました。

 

 

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この写真を丁寧に見てください。赤いプロミネンス、スピキュールなどは、毛のように彩層の表面から外に生えているように見えます。

 

もう、お気付きの方もあるかもしれません。

 その通りです。 これがコロナの最も底に彩層の最も上部から突き出ている低温の水素のプラズマの突起です。この毛のようなものの根っこの部分が彩層の最上部、先端はコロナの下層(底部)です。

 

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日本の連隊旗、旭日旗には、日章旗になかった放射状の光が描かれています。

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日本の護衛艦旗、自衛艦旗にも放射状の光が描かれています。

 

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台湾の軍艦旗にも、放射状の光が描かれています。

 

 

 

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御伊勢様の紋章にも、放射状の光が描かれています。そして、さらに上下左右に広がる花びらのようなものまで描かれています。

 そして、一見すると花のようですので、菊の紋章ということになっています。

 しかし、こうしたものは、天照皇大神(あまてらすおおみかみ)様が天岩戸(あまのいわと)に御隠れになる時に、空が良く晴れていると、実際に見ることができます。お疑いの方は、

 「皆既日食」をキーワードにして画像を検索してください。

 文学的には「菊の紋章」でしょうが、天文学的には、これが「太陽コロナsolar corona」です。

 

 

 

A人工の月、コロナグラフ

 

 世界的にみると2年に1度くらいは皆既日食がありますが、1か所で起きるのを待っていると、何百年に一度しか起きません。大金を出して、皆既日食を見に行っても、そこが晴れているとは限りません。晴れていても皆既の時間は2分から6分くらいしかありませんので、落ち着いて写真を撮ったりはできません。

 そこで、人工的に日食を起こして、コロナをいつでも観察するための装置がコロナグラフです。昔は乗鞍岳の頂上付近に置いたりして、観測していましたが、最近では衛星に載せて使われるようになっています。

 

(注意)コロナグラフは極めて危険な観測装置です。設計を誤ったり、操作を誤ると簡単に発火したり、焦がしたり、失明したりします。望遠鏡の熱量をどのようにして管理するか、知識と経験の双方が必要です。また、望遠鏡の内部でものが焦げた場合、鏡筒やレンズユニットを分解して洗浄しなくてはならなくなります。こうしたパーツを自分で分解できても、もとどおりに組み立てなおせる方はめったにいらっしゃらないでしょう。光軸や、レンズの研磨の誤差を補正するために、レンズのはめ込む角度や回転方向の位置などを、微妙に調整するための道具や測定器が必要になることもあります。さらに、どの部品が劣化したのか、どのレンズのコーティングが熱で変質したのかも、アマチュアで測定できる方には、お目にかかったことがありません。理科の先生方についても同様です。国立天文台のコロナグラフ1号機さえ遮蔽板が融け煙を上げたくらいです

 決してまねをしないでください。

 以下に、簡単な試作品や、その後作ったコロナグラフを紹介しますが、様々な計算をしてから作っています。その計算は、焦点距離、集光力、発熱量、放熱、観測の持続可能時間、など多岐にわたります。そして、その計算方法や調整のノウハウは、ここに書くと、まねをされる方が必ず事故を起こされると思いますので、公開しません。

 

 

Aコロナグラフの原理

 

  コロナグラフの原理は極めて簡単なものです。日食の遮蔽物、天岩戸は月ですが、月の代わりに円形の遮蔽物occulting diskを対物レンズの太陽の像の位置に置きます。本格的なものは円錐形の遮蔽物を使用したりします。

 

原理はこれだけですが、実装は容易なことではありません。

  遮蔽物を通過する光は、遮蔽物の縁で回折を起こします。これを避けるために、黒点のところで述べたように投影をします。対物レンズも投影用のレンズもできるだけ明るい(口径比Fの小さい)レンズを使用した方が有利です。しかし、そうすると集光力が大きくなり発熱が大きくなります。そこで、減光フィルターをERF(energy rejection filter エネルギー遮蔽フィルター)として使用します。すると今度は、画面が暗くなります。このため、露光時間を長くする必要があります。すると、今度は熱雑音が発生して、ノイズの輝点が多数生じます。とにかく、容易なことではありません。

  試行錯誤を重ねる必要がありますが、その過程で、たいていの方は、遮蔽版を発火させたり、溶かしてしまったりして、結果として、カメラを壊すか、望遠鏡を壊すか、目を傷めることになります。

 

 

B最も単純なコロナグラフ

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 黒いボール紙を丸く切ったもの

円形のものが人口の月で、直径は対物レンズの焦点距離の9/1000よりも少し大きいもの。小さいと金環食になってしまいます。

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 左図のように貼り合わせます。

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 アイピースを挟んで、カメラに投影する位置にセロテープで固定しました。

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 次は、投影の機材です。左から

☆バローレンズのアダプター

☆遮蔽版を取り付けたアイピース

☆延長筒

Tリング

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組み立て終わった投影機構

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フィルターを取り付けるためのアダプター

2インチ---11/4インチ変換アダプター

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ERF(エネルギー遮蔽フィルター)

ND-D5(1/100,000) フィルター

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組み立て終わったコロナグラフ

露光時間を長くとるために、自動追尾の赤道儀に乗せてあります。

 

C人工の日食

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赤道儀を調整して次第に皆既食にしていきます。

 

皆既食になったら

 

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一段づつシャッター速度を遅くして、露光時間を長くしていきます。

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すると、御伊勢様の紋章の太陽の周りの花びらのような写真が撮れます。

 

 

 中略

 

 

 

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どんどん、露光時間を長くしていって、最後は1/41秒程度まで撮影します。こんな撮影の仕方をUHDR ultra high dynamic rangeと呼びます。

 

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↑この写真はクリックすると拡大します。ブラウザーの戻るボタンで戻ります。

 これは、上の写真の中から1/8秒のものを8枚撮影しておいて、それをスタックしてから、ローテーショナル・グラディエント処理したものです。

 放射線方向の流線が強調された写真が得られました。

 

 下の中央の紫色の太陽は、同日に、彩層の様子を写したCaKフィルターの写真です。左上の黒点とその少し下にある白いところ(プラージュ)が高温になっているところです。

 左の緑色の写真はNASASOHO衛星が写したEIT195の映像です。EIT195Extreme Ultraviolet Imaging Telescope 遠紫外線映像撮影用望遠鏡で波長195nmの炭化水素の輝線で写した写真です。これには、プラージュの上に、この波長のプロミネンスがあるのが写っています。

 上の中央が、今回撮影した画像です。上記のプロミネンスの上に、可視光線の領域でも明るく光っているコロナがあるのが写っています。

 上の右はNASASOHO衛星が写したLASCO C2の映像です。LASCO C2は、Large Angle and Spectrometric Coronagraph 広角でスペクトル測定用のコロナグラフで、C2が内側から2番目の写真という意味です。左上のコロナの先端はさらに太陽の半径の数倍の高さまで強く輝いていて、さらに、まだまだ高いところまでコロナが伸びているのがわかります。

 

 

 もう少し沢山ならべてみましょう。立体的な構造が見えてきます。

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↑この写真はクリックすると拡大します。ブラウザーの戻るボタンで戻ります。

簡単なコロナグラフですが、EITLASCOのちょうど間をつなぐ可視光の写真が撮れますので、使い道はありそうです。

 

D広角コロナグラフ

 広角にすると遮蔽板に太陽光が集中しますので、上述の方式では発火してしまいます。このためボール紙ではなく、金属製の遮蔽板を使い、放熱のできるように太い筒の中で結像させて遮蔽するようにしました。

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アルミ棒から削り出したばかりの遮蔽板occulting diskです。この部品を艶消し塗装して真っ黒にして使用します。左側に向いている円錐形の部分が太陽の光を横に反射したり吸収したりします。この面の加工が悪いと迷光やゴーストが発生しますので、旋盤かボール盤で慎重に削り出します。また、熱を逃がしやすいように、金属で鏡筒の外部まで熱が伝導するようにしてあります。

下の写真では遮蔽板は鏡筒内にセットされていますが、鏡筒の外のアルミ棒につないであります。

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左から右へ

☆エネルギー遮蔽フィルターERF は ND-D5, ND100,000, ND1000, ND100

            ND8, ND4, ND2などを、色々組み合わせて使用します。

☆バンドパスフィルター Red, Green, Blue, Hαなど手持ちのものが使えます。

☆対物レンズ TC-DC58, TC-DC58, 180mm3組のレンズを

         組み合わせて、焦点距離を

          f1=180, 255, 360mm の3種類にできます。

☆遮蔽機構 ネジを回すと外から遮蔽版を上下左右に微動できます。

         遮蔽板は外径2mm5mmまで数種類

         観測中の取り換えはできませんが、

         準備段階で取り換えて使用します。

☆投影機構 現在はf2=100mmで ×0.9 の縮小投影ですが、

  レンズを取り換えたり、延長筒を替えて、倍率を変更できます。

☆合焦機構 対物レンズの後ろと、投影レンズの後ろの2か所

 2つのヘリコイドがはいっています。まず、カメラと遮蔽版の距離を決めて、次に、太陽の黒点や外周を見ながら対物レンズの位置を決めます。

☆重さ  組み合わせで変わり23Kgで、軽量です。

☆価格  材料費は、

  カメラや赤道儀を除いた総額は部品代だけで2030万円程度です。

ほぼすべての部品が、使ってないものを入れている部品箱の中から出てきましたので、正確には、わかりません。現在では手に入らないものがかなりあるので、材料から買い集めて作ると、もう少しかかるかも知れません。

 

 コロナは、光球面の外周ぎりぎりのところから、光球の直径の数倍、数十倍まで広がっていますので、焦点距離を変えて、異なる範囲を撮影する必要があります。また、広角で撮影するときには、コロナの明るい部分も邪魔になりますので、遮蔽板もいろいろなサイズのものを作っておく必要があり、製作には、かなり手間がかかります。

 

遮蔽板を可動にしましたので、導入は楽になりました。

まず、太陽を画面の中央に導入して、赤道儀をソーラー・レートで運転して自動追尾しておきます。

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次いで、遮蔽板を太陽に重ね合わせます。

下の写真のように上の写真を合成すると、光球面の外側のどの高さでコロナがどのように光っているのかが計測できます。

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↑この写真をクリックすると拡大します。ブラウザーの戻るボタンで戻ります。

 空が青くないと写りませんが、皆既日食でない時でもコロナが写せるので、楽しみが増えました。しかし、撮影は準備から後片付けまで1時間余りですが、処理には朝から晩までかけて2日位は必要です。

  SOHO衛星の写真は太陽の赤道面が水平に写されています。私の写真は天球(地球)の赤道面が水平になるように写してあります。このため、この日は7.2度太陽の北極の向きが、SOHOの写真よりも右側に傾いています。

 

  アメリカまで皆既日食を写しに行く方が、ずっと安上がりで、安全にもっときれいな写真が写せると思います。 コロナグラフを地上で使用した場合、地球の大気で散乱された光と、太陽のコロナの光の両方が対物レンズに入ってきます。

  皆既日食の時には、大きな月の本影が、観測点の周辺を広範囲におおっているため、地球の大気が太陽光を散乱しようにも、太陽光(光球の光)自体がありません。また、衛星の周囲には大気がありません。

  このため、皆既月食を写す場合や衛星搭載のコロナグラフでは、この大気による光球の光の散乱はほとんどなくなり、太陽コロナ自体による散乱や発光だけを撮影できます。

 

 本物の天岩戸(あまのいわと、月)に始まり人工の天岩戸(遮蔽板occulting disk)までたどり着きました。以上で、太陽のページの技術編は終わりです。

       あとは、御伊勢様の金杯に御神酒でも入れて・・・・・

 

世間の人が菊の花だとおもっているものの実像を写すのは、並大抵のことではありません。そして、写せたからどうなるというものでもありません。決してまねをなさらないことを強くお勧めします。

     趣味で楽しむには、あまりにも危険です。

インターネットで

  太陽ココロナ

  solar corona

の画像を検索すれば、いくらでもきれいな写真を安全に見ることができます。

 

 

6. 日面座標へ

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