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02太陽 

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5. 太陽光の分光

(1) NDフィルターを利用した太陽の観察へ戻る

(2) フラウンホーファー線

 

 

(注意) これからは特に危険です まねをしないでください

  ここまで、八咫鏡(やあたのかがみ)からNDフィルターまで延々と書いてきましたが、これからが、太陽の写真撮影の中心テーマに入ります。

  もちろん、アマチュア向きの話です。しかし、かといって普通のアマチュア天文家向きの話ではありません。天文好きなら誰にでもできるわけではなく、専門家か、かなりのオタクでないと何をしているのかもわからない難しい話になります。

  そして、何といっても、とにかく大変危険なことですので、長年天体写真を撮ってきた自信満々のアマチュアの方には特にお勧めできません。こう書くと、かえって、そういうならやってみようと思われる方が、必ずいらっしゃると思われますが、お勧めしません。

  ましてや、お子さんや、中学、高校、大学、大学院に入ったばかりの学生さんも決して試してみないでください。適切な指導者なしに試されますと、機材を壊してしまったり、悪くすると火傷、失明、火災などを起こします。理科の先生ならばとご父兄は思わないでください。理科の先生方も殆どの方は天文以外の専攻の方で専門外の方です。天文を専攻された方もほとんどの方は太陽が専門ではありません。特に、太陽の観測の安全性について知識や経験のある方には、殆どお会いしたことがありません。

  クールダウンしていただくために、どんな人ならわかるかというと、

   京都大学 理学研究科(大学院) の 岩室史英先生の 講義の内容

が理解できる程度の学力が必要です。自分で撮影したり応用するためには、

   そこに出てくる実験装置や観測装置

の原理がわかり、安全に配慮しながら自分の望遠鏡用に装置を設計して作ったり、適正なものを選んで調達し、観測機材を組み立てられる程度の技術力が必要です。機材を輸入したり販売されている方々も、同様に大抵はあてになりません。

   

(一般の方への解説)

  一般の方への太陽光の回折による分光の解説は、国立天文台の方々が以下のようなページを作ってくださっていますので、それを参考にしてください。

  青木和光先生   天体スペクトル観測 温故知新

  勝川行雄先生 太陽のフラウンホーファー線

などがありますので、こうしたものを読まれて、興味がわいたら、

  ぐんま天文台

  葛飾区郷土と天文の博物館

  明石市立天文科学館

  川口市立科学館

  名古屋市科学館

など、各地の施設でスペクトルや望遠鏡の投影画像を安全に見せてもらえます。ぜひ、そちらをご覧ください。

 

 

@分光器の製作と撮影

  DVDが反射型の回折格子になることは、4. (3)で写真を見ていただきました。これを利用すると、太陽光の分光装置ができます。

分光に必要な材料は

 

image002

捨てる前のDVD 1枚だけです。

 CD, DVDの別、R,RW,・・の別、フォーマットの別、容量の別、何を書き込んだかの違いで、うまく、回折ができるかできないか変わります。たくさん取っておいて、比べてみてください。

(注意)室内の蛍光灯、白熱電灯、LEDなどを使って、数メートル離れたところで、写真のようにしてみる分には安全ですが、近距離で、こうしただけで、目にはダメージがあります。明るい照明では決して試さないでください。太陽はもっと危険です。太陽では絶対に試さないでください。

その他必要なもの

  鏡筒になるもの

ここでは、日本酒の箱を使いました。DVDがぴったり入ります。

  絞りやスリットの材料

菓子折のボール紙などで、済ませました。

  材料の接合材料

セロテープ、養生テープ、両面テープを使いました。

image004

折った段ボールに、両面テープで張り付けて、角度が変えられるようにしておきます。

固定するのは、調整後です。

image006

箱の蓋(ふた)を加工して、スリットをボール紙で作って取り付けました。スリットは、幅の異なるものを数種類用意しました。

image008

DVDの上に、撮影用の穴をあけます。穴の大きさはカメラのレンズの外径の2倍くらいにしておきます。

image010

 こんな、絞りのようなフードを作ります、穴の大きさはカメラのレンズの通るギリギリの大きさです。これは、本体には張り付けません、カメラの位置を変えて、スペクトルの中でどの帯域を見るか、見る位置を変えながら撮影するための工夫です。

image012

 自動追尾できる赤道儀に載せます。手動の赤道儀や、経緯台では、光軸がずれて目に光が入って目を傷めたり、カメラを壊したりします。必ず、自動で太陽を追尾できる状態にしてください。

image014

 光軸がずれるとこうなります。太陽光がDVDの曲面で反射されているため、太陽を直視するよりもかなり危険です。数秒で失明しますので、のぞきながら、DVDの角度や方向を調整することは極めて危険です。

image016

 危険を避けるため、調整は、夜に室内で行います。撮影用の穴にカメラのレンズを入れて、DVDの角度を調整して固定します。 DVDの角度の調整が、できると、蛍光管を完全に覆っているフードのついたサークラインは、このように見えます。

image018

 次に、スリットの幅や長さを調整します。すると、フード越しのサークラインはこのようになります。色が分離し、輪になっている蛍光灯の手前の円周と向こう側の円周が分離する程度まで、調整してください。たいていは徹夜が何回か必要になります。蛍光灯は、とびとびの輝線からなる光を出しています。

image020

 うまく、調整ができているか、色の違うLED電球でテストしてみました。これは、白熱電灯のような色の少し黄色いLEDです。分光器を重たい三脚や、追尾を止めた赤道儀などに固定しておいてください。

image022

 角度を変えずにLEDを白色のものに取り換えます。すると青い成分が多いことが確認できれば、色の分離が成功しています。LEDは赤緑青の連続的なスペクトルの光を出しています。蛍光管は輝線ですが、LEDは連続スペクトルです。

 

 この時、分光器から見て、どの角度にLED電球があるか、角度を測っておくと、太陽の導入が楽になりますが、鏡筒側からLEDを見通して合わせるのではなく、影の方向がどうなるのかを記録してください。八尺瓊勾玉は高価ですので100円均一の5mの巻き尺で、タンジェント(tan)やサイン(sin)を計測すると分度器より23桁正確に測れます。これは、太陽が直視できないための対策ですので、影の方向を測るようにしてください。

 

 

A太陽の撮影

image024

 そして、いよいよ太陽で、最終調整をしますが、目で中をのぞくのだけは止めてください。前掲の写真よりもう少し強めの写真を掲載しておきます。影の向きで、鏡筒の方向を決め、次に、カメラで微調整しますが、その時にも、ファインダーをのぞくのではなく、モニターで画像を確認してください。ファインダーには、日光が入っています。

image026

 絞り解放(オートのカメラならAV最小)で、このような写真が撮れれば成功です。

 スリットの幅などの選択、シャッタースピードの選択、 ISO感度の調整、焦点距離の調整などなど、はじめは、数時間〜数日必要でしょう。全てマニュアルで写します。オートでは写りません。

 

A太陽のスペクトルとフラウンホーファー線

   上の写真からうまく暗い筋の見えるところをトリミングします。必要ならトーンの調整などをしてください。シャープ処理をかけるとノイズが強調されてしまいますし、滑らかにしようとしてぼかし系の処理をすると暗い線が消えてしまいます。注意して処理しましょう。

image028

   白い太陽の光が、綺麗に分光されました。しかし、CGの位置に、暗い縦の筋が見えます。19世紀の初め1814年に、この暗い筋を計測して研究した人の名前を取って、フラウンホーファー線と呼びます。

 

(1)CGの位置が正確かどうか確かめてありません。干渉分光器を作ったら、標準になる光で、位置を校正するのですが、標準光の発生装置は、おやつを食べたり、お酒を飲んで出たごみのリサイクルでは、作れませんでしたので、持っていません。御容赦ください。

  AB

赤外線の領域にありますので、普通のカメラには写りません。

  CK

可視光線の領域なので、普通のカメラに写ります。

  L〜上は

紫外線の領域なので、普通のカメラには写りません。

 

 (2)理科年表の天文、主な太陽の吸収線や、国立天文台の勝川先生のページが参考になります。 それを、元にして、「主なフラウンホーファー線」の表を作っておきます。

 

主なフラウンホーファー線

記号

波長の領域

元素

別称

A

赤外線

O2

 

B

O2

 

C

可視光線

H

Hα

D

Na, He

 

E

Fe

 

F

H

Hβ

G

Fe, C

 

H

 

 

K

Ca

CaK

L

紫外線

Fe

 

M

Fe

 

N

Fe

 

O

Fe

 

 

 

Bフラウンホーファー線とは何か

  神代の昔に、日食のとき太陽の光に影を投げかけるものが、天岩戸(月)であることが解明されたようだという話を太陽のベージの冒頭で説明しました。19世紀にも、これと同様に太陽の光に影を落としているものが研究されはじめました。それがこのフラウンホーファー線です。 白い太陽の光をスペクトルにすると暗い影が映ります。私の、酒の空き箱の分光器では主なはっきりしたものだけしか写りません。しかし、当時から100本以上の暗い線があるのは知られていました。その暗い線つまり影は何の影なのかを知る手掛かりが色々なものの光の分光分析です。

 団地で外灯に使われている水銀灯の光を分光すると下のような線に分光されます。

image030

 この水銀灯は、電球の内側に蛍光塗料が塗ってあり輝線だけではなく、連続光が出るようになっているので、あまり蛍光灯とは違いがありませんが、IRcutUVcutなど少し違います。

image032  

  蛍光灯の光を分光するとこのような輝線や連続スペクトルに分光されます。水銀灯の輝線スペクトルとは、UV紫外線やIR赤外線を遮断するフィルター機能がある塗料が蛍光管の内壁に塗ってあり、水銀灯の光と比較すると、紫外線領域や赤外線領域の光がありません。目を保護する機能が蛍光灯には付加されています。蛍光塗料が水銀の光を吸収して連続スペクトルにして放出している点は、上の水銀灯と同じです。

(光学、物理学などを専門にしている方への説明)

  水銀灯も蛍光灯も同じ原理で水銀が光っています。真空にしたガラス管の中に、水銀を封じ込めおきます。安定器で高い電位差を作り出して、電子を飛ばして水銀にぶつけて、水銀をガスや、イオンや、プラズマの状態にします。すると、いろいろな理由で、原子核の周りの軌道を雲のようになって飛んでいる電子の数が変わったり、軌道を変えたり、時には電子や原子核の自転(スピン)の速度が変わったりと、量子電磁気学Quantum electromagnetismと呼ばれる、学問領域で研究されている現象が発生します。その時に、光などの電磁波を吸収したり、散乱したり、放出したりと様々な現象がおきます。私が若いころに専門にしていたのが、この量子電磁気学でした。

  蛍光灯のように横から見ていると、散乱されたり放出されたりした光が見えます。これが、蛍光灯や水銀灯の発光の原理であり、横から見た太陽の彩層が虹のように輝いている原理です。

  さて、ガスやプラズマの中へ向こう側から手前に強い光などの電磁波を通します。するとその電磁波が吸収されたり、散乱されるので、そこを通過して、こちらに届く電磁波は入射した光や電磁波より少なくなります。これが、フラウンホーファー線の正体です。

  こうした吸収、散乱、放出の現象は、白い光の連続したすべての波長で発生するのではなく、各元素の電子の軌道が変わったり、電子が軌道を離れたり、原子核や電子がスピン(自転)の状態を変えるのにちょうど都合の良い波長でだけ発生します。そのため、とびとびの(量子化された)波長にだけフラウンホーファー線が見えたり、蛍光灯や水銀灯の輝線が見えたりします。  

 

(一般の方への説明) 

 かなり、むつかしい話になってしまいましたが、でも、もっとわかり易い説明もしておきます。雲がかかると日差しは陰ります。また、電灯の前でタバコを吸うと煙の影ができます。しかし、雲も煙草の煙も、離れて横の方から見ていると、白くてみえて、流れて行くのが見えます。

image034

 電球に当たるものは、この光球です。

太陽の光球は、真っ白く輝いています。

image036

  地球の雲や煙草の煙に当たるものは、この写真に写っている、

  彩層、 ブロミネンス、 コロナです。

ですから、横から見ると、彩層、ブロミネンス、コロナはそれぞれの色で薄く光って見えています。しかし、そこを通ってくる光を分光してみると、そのスペクトルにはフラウンホーファー線という暗い影の線ができます。

  研究されはじめたのは今から約200年程前の事ですが、昭和の時代には、日本では乗鞍岳に観測所を作り、平成の今日は、人工衛星「ひので」をあげて調べています。詳しいことは、勝川先生たちのページにありますのでそこに譲ります。

 

 

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