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5.害虫との戦い方

 

 

もくげ(むくげ)は、人にも薬ですが、虫にも良いものらしく、いろいろ虫が寄ってきます。

 

    いもむし、けむし

その1 芋虫、毛虫

 

遺留品

説明: CIMG8569説明: IMG_0281

こんな穴が、葉にあいている時は、

犯人

説明: image004説明: image006説明: IMG_0280

芋虫      毛虫      尺取虫

が食べた後です。芋虫(いもむし)は蝶々(ちょうちょう)の子、

毛虫(けむし)と尺取虫(しゃくとりむし)は蛾()の子供です。

蝶々や蛾がベランダに飛んできたあとには、たいていこういうことになりますので、

飛来したのを目撃したとの情報を得た時には、捜索を開始してください。

 

逮捕時の注意

犯人を発見したら、直ちに、逮捕してやつけますが、素手(すで)では危険が伴います。

毛虫の毛が手にささり、化膿してしまい、薬で治しても、

毛が残っていて再発を繰り返し、一本一本自分の体毛より細い毛虫の毛を、

虫眼鏡(むしめがね、ルーペ)で探して抜き取るのに数年かかりました。

イラガ、チャドクガといった厄介なのも、もくげ(むくげ)には、寄ってきます。

 

おまわりさんも、警棒や手錠をもっています。

われわれも、ピンセット、割りばし、火箸、トングなど使い慣れたものを用意しましょう。

説明: CIMG8583

そういえば、近頃、おまわりさんは防弾チョッキを着用しています。

ゴム手袋もあれば、完璧です。

 

特に、親とわたりあうのは危険です、

イラガやチャドクガの羽に生えている毛は、皮膚につくと、

ひどいかゆみに襲われ、皮膚が糜爛(びらん)します。

決して、「蠅たたき」などでたたかないでください。毛が飛び散ります。

 

応急処置

毛虫や蛾の毛がついてしまったら、

すぐにセロテープ、ガムテープ、などで

毛を取り除きます。

洗ったり、こすったりすると、皮膚の中に入り込みます。

テープで十分取り除いてから、洗ったりしてください。

それでも痒(かゆ)いとき、あるいは、目をやられた時

皮膚科、眼科に急行してください。

 

飛び道具の使い方

芋虫、毛虫、蝶々、蛾といった犯人と向き合うのは嫌だという方

繁殖してしまい、多勢に無勢の時

おまわりさんが拳銃を持っているように、

われわれは殺虫剤のスプレーを持っています。

 

家庭用の殺虫剤は、残留毒性も強く、

ケロシン(灯油)やアルコール類に溶かしてあります。

また、LPG(圧搾したプロパン)などのガスの圧力を利用して噴霧します。

このガスが噴き出す時に、極めて低い温度になります。

確かに虫は死ぬのですが、油がつくと木は呼吸ができません、

冷たい霧で、凍傷もおこします。つまり、木は弱ってしまいます。

また、虫を見つけた所にスポットでかけても、

葉の裏、樹皮の中、土の中などにいくらでも隠れています。

昼間は土の中にいて、夜になると木に登って食害する虫もたくさんいます。

家庭用の殺虫剤を葉の表裏、枝、幹、根元の土にかけると、

木の傷み方が激しいばかりか、もう、臭くていられません。

 

装備

そこで、農薬をつかうことになります。

こうなると警察ではなく、自衛隊のような状況になります。

自分がやられないように、帽子をかぶり、

説明: image010

防塵眼鏡をかけ、マスクし、ゴム手袋をはめ、

長袖のシャツ、長ズボン、ゴム長です。

調合用の受け皿、スポイド、

説明: image012

ノズルの長い噴霧器、

説明: CIMG5473

高い枝に噴霧するとき自分にかからないように、

市販の物よりパイプを長くしています。

化学兵器を扱うのですから、それなりの装備の準備が必要です。

説明: image016

攻撃作戦と掃討作戦

水溶性の農薬を使い、展着剤をまぜて、葉の裏表、枝、幹、根元の土、鉢の受け皿

全てに、乾いた隙間のなくなるまで、噴霧します。

葉に農薬が展着しているので、その時にいなくても、

あとから葉を食べにきたら、これでやつけられます。

農薬の効果は、短いのは1日、たいてい37くらいですので、

(たまご)、蛹(さなぎ)などで、生き延びるラッキーな虫がいます。

そこで、農薬の効果がなくなって、そうした虫がでてきたら、

今度は、掃討作戦です。

虫のいるところにスポットで噴霧します。

 

耐薬性

この作戦にも欠点があります。農薬の効力は、短いことです。

野菜や果物にもかけますので、残留毒性が残る期間は短くなくては困ります。

効力が切れると、虫は寄ってきます。

そうすると、しょっちゅう農薬をまいていないといけなくなりますが、

これには、困ったことが2つ生じます。

もくげ(むくげ)の世話ができなくなります。

いつも農薬の効果の残っているならば、さわることができません。

もうひとつが、虫に耐薬性がついてしまい、

その農薬が効かなくなってしまうことです。

 

そこで、私は、農薬の散布は年に数回、

害虫が手に負えなくなった時に限って行います。

つまり、1か月か2か月に一度です。

その時は掃討作戦もやりますが、そのあとは1か月以上間をあけます。

また、農薬を3種類用意しています。

除虫菊乳剤、スミチオン乳剤、マラソン乳剤の3種類

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を順に一つづつ使用して、右端にある展着剤を加えて散布しています。

こうすることで、一つの農薬は、年に1回か2回しか使わなくてすみます。

また、散布した後は10日間くらいは、

撒いたところを手では触らないようにしています。

 

1365日の間に5回農薬をまいたとして、掃討作戦まで入れた効果が10日間とすると、

農薬に頼れるのは、50日、残りの315日は、他の方法に頼るしかありません。

 

 

電撃作戦

ドイツのder Blitzkriek、空からは空軍、地上からは装甲機甲師団による、

短期集中総攻撃で稲妻のように敵を席巻する作戦です。

わが国では、息子の子供のころに、電撃戦隊○○マン、○○が思い出せません。

 

虫との戦争の世界では、実は、古式ゆかしい伝統の作戦です。

お盆のころの

迎え火、送り火

ご先祖の魂を呼びに提灯を下げてお墓にお参りして、

御迎えをします。

お盆の間は燈明を絶やさず、盆提灯を終夜ともします。

お見送りするときは、

 松明(たいまつ)をかざして、河原や、海岸、山に集まり

灯篭(とうろう)流し、精霊(しょうろう)や、精霊船流し、

大松明(おおたいまつ)、かがり火、大文字(だいもんじ)で、

遠くまで、流れていくか、明かりが遠く届くほど

ご先祖のご利益で

 

豊作

 

つまり、殺虫効果が大きいのです。

お迎えの火で虫を屋敷のまわりに集め、

これを、燈明や提灯で、数日かけて集中させ

さらに明るい松明のひかりで、庭や畑から引き離し、

「飛んで火にいる夏の虫」

にする作戦です。

 

伝統の技の現代版

提灯のような形をした

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電撃殺虫器

を入手して、苗の置いてある室内につるしたところ大成功、

蛾、芋虫、毛虫、小蠅などはいなくなりました。

何度か買い換えましたが、30年ほどにもなるでしょうか、

この明かりを一年中、絶やさずともしています。

 

室内で好成績なので、ベランダに取り付けてみました。

毎朝、何十匹もの蛾が取れていましたが、電撃殺虫器に入る前に

たくさん卵を生み落としていきます。

町をあげてやらないと、この作戦は成功しません。

結局、ふだんは警察、災害のときには自衛隊、

電撃戦隊は、町のみんなが盛り上がらないので

家の中で、ということのようです。

 

 

 

 

その2 アブラムシと蜂や蟻

 

芋虫、毛虫を退治すると、そこには、もっと手のかかるのがやってきます。

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アブラムシ

もくげ(むくげ)には、アブラムシのほかにもアリマキの仲間がたくさん住みつきます。

このアブラムシがつくことで、もくげ(むくげ)は蟻(あり)や蜂(はち)の天国になります。

花には花粉と蜜、

葉にはアブラムシ

花、樹皮も薬です

つまり、植物性蛋白質、糖分、動物性蛋白質、

胃腸薬や皮膚炎の薬

 

(あり)は、家畜としてアブラムシを育てるくらい、アブラムシを大切にしています。

アブラムシが体から、蟻のこどもに必要な密を出すからです。

アブラムシ自体も蛋白源です。蟻にとっては、私たちの牛や馬や羊のようなものです。

 

(はち)はアブラムシを肉団子にして巣へ運びます。蜜や花粉も運びます。

蜂の子を育てるためです。

私たちの頂く蜂の子は、地下蜂(ジカバチ)つまり黒スズメバチの子ですが、

あらゆる蜂がこのアブラムシを取りに来ます。

肉団子にして巣へ持ち帰り、幼虫にあたえます。

 

このように、アブラムシが増えると、蟻(あり)と蜂(はち)が寄ってきます。

(あり)にかまれたり、蜂(はち)に刺されたりしたい人はいません。

せっかく、芋虫、毛虫を退治したのに、今度は蟻と蜂です。

「勝って兜の緒をしめよ」

と習いました。戦勝したとき、気を緩めることは禁物です。

 

蟻との戦

蟻を寄せ付けない最善で最終の手段は、まわりに石灰を撒くことです。

しかし、ちょっと待ってください。もくげ(むくげ)は弱酸性の土に育ちます。

石灰をまいていると、やがて、土は中性になり、アルカリ性になってしまいます。

これでは、もくげ(むくげ)は生きていけません。

蟻は庭ではいろいろな役目をしていますので、いなくなっても困ります。

 

蜂との戦

ビニールやネットで覆うのが万全の策です。

しかし、それでは、せっかくの庭やベランダはだいなしです。

アブラムシも増え放題、

見苦しいし、蒸し暑くて、困ります。

 

蟻や蜂のきらうもの

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それが煙草(たばこ)です。

最近のNHKのニュースによると、

カリフォルニアのアーモンドやプラムの畑に、

ニコチンを農薬として散布したところ、

ミツバチが激減して、養蜂家が困っているそうです。

 

煙草の吸い殻と灰はどちらも、もくげ栽培の役に立ちます。

灰は、鉢替えの時、土に混ぜてミネラルの補給に使います。

 

葉もためておいて、土に撒きます。

年に23

5号鉢に茶さじ1

8号鉢なら23

これを表土2〜3cmに混ぜ合わせるようにすきこみます。

 

庭の時は、たくさんためておいて根元に輪のように撒いてすきこみます。

消火のために入れておいた、吸い殻入れの臭い水を撒くのも一手です。

 

繰り返しているうちに、

蜂や蟻は寄ってこなくなります。

戦で攻めるより、嫌われる方が効果は確実で簡単です。

 

苦手な蟻や蜂とは戦わず、アブラムシと戦う

これが私の戦略です。

アブラムシ攻略作戦には化学戦より物理学の原理の方が有効です。

 

圧力、表面張力、粘性、などの力で敵を殲滅(せんめつ)します。

 

武器はセロテープ、霧吹き、糊

文房具、正確には、障子の補修の道具こそ、

この戦いの兵器です。

 

作戦は3段階

少数の敵にはセロテープ

中くらいの数の敵には水攻め

増えてきたら糊(のり)

それでもだめなら自衛隊の出動、化学兵器つまり農薬に頼っています。

 

セロテープの絡捕(からめど)

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セロテープを7〜8cmに切って、端を12cm折ります。

折って手につかなくなったところをつまんで、粘着力のある所を、

アブラムシにぺたぺたと押しつけて、捕ります。

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とれたら、テープを折ってこの通り、作戦終了です。

 

掃討作戦は次の要領です。

花びらや萼(がく)の間に隠れているものには、

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マスカラのブラシ、アイシャドウの筆などに

水を適度に付けて捕まえます。

水が少ないと、表面張力が不足して、

捕れてもどこかへ飛び散ってしまいます。

多すぎても、うまくいきません。

水滴とともに落ちてどこかで生き延びます。

いろいろ試して加減を覚えてください。

濡らした筆を器の縁やスポンジでちょっと拭いて

といったくらいでしょうか。

コツを覚えると、水の表面張力で吸いつくように

筆やブラシの先についてきます。

 

筆やブラシについたアブラムシは、

筆やブラシを水につけるとここでも表面張力で水に浮いて取れます。

まだ生きていますので、しっかり、殺してください。

 

 

少し数が増えてしまい、セロテープや筆先では手に負えない時、

次の作戦です。

ペットボトルやカップで発根をさせている枝や、小さい植木鉢の苗は

水道水を流しながら、ついているアブラムシを指先やブラシでこすると

水圧や摩擦力で、きれいに取れ水攻め

てしまいます。

 

大きな植木鉢や庭のもくげ(むくげ)

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噴霧器(農薬のものとは別に水専用を用意します)に水をいれ、

水圧をかけて、水を吹き付けながら、指かブラシでこすると、

簡単にとれます。アブラムシにさわっても害はありませんので

ブラシより指をおすすめします。感触でとれたかどうかわかるからです。

ゴム手袋では感触がつかめません。

いやな方は、筆か、ブラシでやってください。

水圧 + 摩擦力

この組み合わせが大切です、どちらか一方では、

圧力や摩擦力がかかりすぎて、

つぼみや、はなびら、葉や、新芽は

痛んでしまいます。

 

糊責めで貼り付けの作戦

たくさんアブラムシがわくと、祖父母や家人は、

飯粒から作った糊()や、洗い張りに使う糊(小麦)

時には団扇(うちわ)や障子(しょうじ)を貼る糊

(今は売っていません、海藻か何かの植物性の糊でフノリといっていました)

をうすめて、

筆で虫のいるところろに塗っていました。

今でもこの方法は、有効な攻撃方法です。

セロテープや水攻めでは

飛び散って生き残るものがいます。

糊の粘性で虫の皮膚をおおい、呼吸できなくしてから、

さらに糊の乾くのに伴い接着して、動けなくするわけです。

糊は、自家製の米の糊でも、文具に使われている小麦粉の糊でも、

洗濯やヘアーをきめるトウモロコシのコーン・スターチでもかまいません。

澱粉(でんぷん)でできていて、人や植物に害がなく、粘性があり、接着力のあるもので、

虫が動けなくなり、そのまま乾いて固まる硬さや速さの加減が

その日の湿度に合わせて、自分でできるものであればよいわけです。

この加減に自信のない方は、

農薬としてデンプンの糊(「粘着くん」など)を売っていますので

これを買ってきて、指示の通りに薄めて使えば

労せずして達人になれます。

雨や霧の日は少し濃くし、晴れた日は書いてある通りの濃さで使います。

説明: image036

私は霧吹きで、少し広い範囲に、霧を吹くというよりは、

ポタポタ垂らす感じでかけています。

食用にできるデンプンの糊ですので、何回かけても心配はありません。

 

さらに、虫の体表の脂分で、水溶液のデンプンがはじかれるのが気になる方は、

農薬用の展着剤を加えてください。中性洗剤でもOKです。

展着剤や洗剤は、表面張力をなくすための界面活性剤として使うので、

霧吹きに1滴で多すぎるくらいです。

市販のデンプン溶液にはこれも多少入っています。

糊と中性洗剤ですので、化学的な農薬よりはずっとエコですし、安心安全です。

植木鉢、鉢の表土、木の枝や幹、新芽にもかけておくと効果があります。

 

室内の栽培の時やまわりに、生き物を飼っていたりして、

スプレーの使えない時には、

説明: CIMG8749 説明: CIMG8748

筆でアブラムシのいる葉に、デンプンの水溶液を塗布します。

 

 

しばらくして乾いたら、水で洗い流します。水攻めの要領を参考にしてください。

これによって、飛散して増えることがなくなり

アブラムシの個体数は激減します。

 

 

その3 自然の調整力

広い風通しの良い庭に育つもくげ(むくげ)は、アブラムシが増えるのを、花の花粉や密で

蜂を呼び寄せて抑制し、蜂が取り損ねた葉の裏のアブラムシが増殖すると、その葉を落とします。

強い雨にさらされると、表面のアブラムシは流されてしまいます。

それでも残ったアブラムシは、テントウムシの幼虫や、クモの子供が食べてくれます。

この虫たちの糞や死骸は、根元に落ちて、肥料になります。

蟻は固い土を柔らかくしてくれます。

この力を利用しない手はありません。

 

昔の人は、工夫をして、もくげ(むくげ)を植えてきました。

垣根にする。塀の際に植える。

内路地にさりげなく咲かせておいたり、

蹲踞(つくばい)で手を洗い口をすすいで、ふと見あげると咲いている。

 

この意味はこうです、明かりのある茶室や母屋から少し離すことで、

明かりに集まる蛾などの昆虫をさけ、

水のあるところや路地や塀の際に植えることで

風通しを良くするとともに、

蜂の目に留まりやすくしていたのです。

蜂は夏場には水を巣に運んで、周りで羽ばたいて巣を空冷します。

その行き帰りに目に留まるように、

つまり、蹲踞(つくばい)からふと見上げるとです。

 

自然の力利用作戦

ベランダに面したカーテンは厚手のものとします。

レースのカーテンは、白い蛍光色が虫を呼びますので、

夜はしっかりたばねて、そでに隠します。

経験ではこれだけで、驚くほど夜に集まる虫の数が減りました。

 

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検討はしていますが、蜂は痛いし、蟻はかゆいので、

まだ、協力関係にはありません。今後の課題です。

 

説明: image039説明: IMG_0276

アブラムシを捕食しているテントウムシの幼虫        アブラムシで育った成虫

 

テントウムシの幼虫や、クモの子供はできる限り連れてきて、

ベランダに放しています。クモの子も巣を張るようになるまでは

かなりアブラムシを食べてくれますので、クモの子のいる鉢は

いない鉢のようにアブラムシはつきません。

 

害虫との戦いは、伝統と、科学と、忍耐力と、知力を駆使した総力戦です。

何と仲良く同盟して、共通の敵を攻撃するか、外交の手腕も問われます。

私たちにとっては、たかが、楽しみに植えている花を守るだけのことですが、

相手にとっては食糧の争奪、子孫の存亡をかけた命がけの戦いです。

 

いくつかの作戦をご紹介しましたが、決定打はありません。

これらの作戦をどのように組み合わせるかの戦略は、

戦いを通じて、自分の流儀を作っていくしかないのかもしれません。

 

 

 

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